せめて、もう一度だけ
ベッドの中でしばらく、まったりしていた。


片時も離れたくなくて、体を密着させて。


「今は、俺だけのミキだよな?」


「うん」


「もうすぐ昼だけど、メシどうする?


なんか食べに行く?」


「うーん、もしよかったら何か作るけど?」


「じゃあ、買い物に行くか」


ふたりで少し照れながら着替えて、車で普段は行かないスーパーへ向かった。


いつも使っているスーパーだと、近所の誰かに見られちゃうかもしれないだろ、って遼くんが気をつかってくれた。



お昼は簡単にパスタですませることにして、遼くんのために夕飯のおかずの食材も買った。


「普段は、夕飯なに食べてるの?」


「そうだな、ビールとツマミで終わり」


「えっ、体力使う仕事なのに、だいじょうぶ?」


「じゃあ、これからもたまには作ってくれよ、なんて」


「いいよ」


「言っとくけど、ミキを家政婦みたいに思ってるわけじゃねーからな」


「ほんとかなー?」


「ほんとだよ、ミキの弁当うまかったし」


スーパーで手をつないで話しながら買い物してるだけで、楽しかった。



遼くんの家に着いてから、ふたりでパスタを作った。


「キャベツとか野菜をパスタと一緒に鍋に入れると、同時にゆでられて楽だよ」


「なるほどな」


「あとね、パスタと野菜を投入して1分くらいゆでたら、蓋をしてゆで時間だけ放置しとけばガス代も節約できるし」


「さすが主婦」


「なによそれー、イヤミ?」


「イヤミじゃねーけど、なんで俺がダンナじゃないんだろうとは思うけど」



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