せめて、もう一度だけ
お互いの気持ちを確かめあってから、遼くんと私は、休みが合うたびにふたりだけの時間を過ごした。


遼くんちで過ごすこともあったし、映画を見に行ったり、公園でのんびりすることもあった。


遼くんと過ごす時間が積み重なってゆくたびに、その時間に比例して、遼くんへの想いはふくらんでいった。


そして、反比例するように、諒との会話はますます減っていった。



あっという間に桜は散って、さわやかな5月も終わって、今はジメジメした梅雨の季節。


最近は、遼くんと会えない週末がもどかしい。


普通の付き合いなら、待ち遠しいはずの週末だけど、私にとっては、ほとんど会話のない諒との時間がつまらない。


私は、遼くんのことだけを意識して、髪を切ったりネイルをしたり、新メニューに挑戦したりした。


当然というか、私の変化に諒が気づいて声をかけてくれることはなかった。


遼くんは、


「パーマかけたんだ、似合ってる」


「今日のネイル、初夏って感じだな」


ちゃんと気づいてくれてるのに。



諒と私の関係って、なんなんだろう。


世間体のために一緒に暮らす、仮面夫婦?


セックスレスなのも、会話がないのも、結婚して4年もたてば普通のこと?








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