せめて、もう一度だけ
こんな風に、何でもない日常を遼くんと過ごしたい。


出会う順番が間違っていたんだ。


何度も話せば、諒もわかってくれるはず。


遼くんと私は、信じていた。


いつか、きっと結ばれるって。



サンドイッチを食べ終わって、遼くんはすぐに食器を洗ってくれた。


こういう、何も言わなくてもやってくれるところが、好き。


諒は一人暮らしの経験がないせいか、洗い物は女がやるものだっていう考えがあるらしい。



「洗い物ありがとう」


「ミキはサンドイッチ作ってくれたんだから、当たり前だろ」


「当たり前なんかじゃないよ」


「・・・ダンナは洗ってくれないわけ?」


少し不機嫌そうな顔で、遼くんはつぶやいた。


「なんでそんなこと聞くの?」


「ミキは時々、残酷だよな。


無意識だろうけど、ダンナと俺をくらべてるんだから」


「ごめん」


「俺がダンナよりリードしてるなら、許す」


「夫は洗い物してくれたことなんかないのに、遼くんは優しいなって思ってたんだよ」


「やっぱくらべてたんだな」


「あっ・・・ごめん」


「謝んなよ、俺がミキにとって一番ならいいから」





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