ビター・アンド・スイート
レンは結構、私が好きだっったらしくて、
付き合いだして1ヶ月も経たずに実家に挨拶にやって来た。
おまけに直ぐにでも結婚したいと言って、私達を驚かせ、
私も慌てて、レンの両親に挨拶に行った。
まあ、結婚願望の強かった私には都合のいい話ってかんじで、
レンは年上の上に落ち着いた穏やかなオトコだったので、
私がどんなに甘えても、嬉しそうにするだけで、ちっとも迷惑じゃないらしい。
不思議だ。
今まで好きになったオトコとは違う。
今直ぐ会いたいとか、迎えに来てとか、スマホを見せろとか
色々ワガママを言ってみたけど、
しょうがないな。とニコニコして聞き入れてくれる。
私はワガママが満たされてとても満足だ。
レンは私しか見えてない。と笑って私を抱きしめる。

私もレンがそばにいればそれだけで満足だ。
来年、私の誕生日に結婚式を挙げる事になった。
きっとその頃は
ハヅキちゃんとリョウ君の子どもも、出席できるだろうって
そう思っている。

今日も私は三吉屋の支店で、着物を着て笑顔で接客をする。
そして、いつものように
レンは私の後ろで私を見つめてくれているにちがいない。
そう思うと、安心して店に立っていることが出来る。
ここに立ったときから、ずっとずっとそうだった。
私はレンに守られて過ごして来てたって今では知っている。
そう、レンに言うときっと照れて事務室に入ってしまうだろうけど、
きっと困った時には、慌てた顔をしてやってくるにちがいない。


そう思って、私はひとりでくすんと下を向いて笑ってから、
背筋を伸ばして笑顔を作った。


〜おわり〜

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