ビター・アンド・スイート
マメを散歩に連れ出しながら、
私は考える。
マメは7歳の柴犬の男の子。
いつ、散歩に誘っても尻尾を振ってついてきてくれるいいヤツだ。
私は家にいるのが嫌な時は、マメと散歩に行く習慣がついている。
子どもの頃も、先代のマメと散歩によく出かけた。
家族が多いと、ちいさな衝突が多い。
マメはそんな私達の心を癒してくれる、大切な存在だ。

きっと、家族は子どもができなかった私を心配している。
子どもを持つかどうかっていうのは、
パートナーと話し合う必要があるんだろうって思うけど、
オンナっていう種類の生物的には、次の結婚には踏み出せないかもしれない。
負い目(おいめ)は負いたくない。
そんな気もする。
はっきり検査をした訳ではないけど、
子どもが持てないって覚悟は必要かもしれない。


まあ、とりあえず、家族が言ったように、
和菓子屋の勉強をしよう。
やって、嫌だったら、
他の仕事を探せばいい。
きっと、今は家の仕事を手伝っていれば
家族はその方が安心する。
まだ、反抗する元気はない。
港の前の公園の中のベンチに座って考えてみる。
マメはベンチの下で寝そべって、耳だけピンと立てて、嬉しそうだ。
外は楽しいね、マメ。
でも、もう家に帰らなくっちゃ。


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