ビター・アンド・スイート
「シロタさん、隣の部屋に住むの?!」とヤヨイが大声で聞く。
「ダメかな?」とリョウはヤヨイに笑いかける。
「ダメでしょう!」とやっと私も大声を出す。
「なんだよ、ハヅキも反対なの?
離れて暮らすのは寂しいって言ったじゃん。」とリョウは不機嫌な顔で私を見る。
「そっ、それとこれとは話が違う!」と私が怒った声を出すと、
「いい考えだって思ったんだけどなあ。」とリョウは母の顔を見てにっこりする。
母は微笑み返してから立ちあがって、奥の部屋に消えた。
きっとお父さんの様子を見に行ったんだろう。

リョウは溜息をついてから、兄の前にあぐらをかいて座って、
「マスオさんってサザエさんとどうしてたんだろう。
タラちゃんがいるから、まるでしないわけじゃないだろうし。」
と難しい顔をする。
ハイ?
「わかるー。俺も家を継ぐ時、この家に入ったら、
どこでエッチすりゃいいんだろうって考えたわー。」と兄はゲラゲラ笑う。
そういうはなし?!
「隣の部屋でするのは止めて。」とヤヨイが機嫌の悪い声で言う。
「だよねー。」とリョウは私に笑いかける。
「ここで、そんな事はしません!」と怒ると、
「そうすると、やっぱり俺の部屋か、ホテル?」と独り言のように言う。
「ホテル代かかるよねー。」と兄は同情した声を出す。
「何日ホテルに泊まるつもりな訳?」とヤヨイが笑った声を出す。
「えー?俺、ハヅキのお腹気に入ってるんだよねえ。」とリョウはクスクス笑う。
「ヤバイお腹?」とヤヨイが笑う。
「ケッコーヤバイ。」とリョウが私の顔を見る。
「ヤバくありません!」と私が怒ると、
涼香さんがプッと吹き出し、皆んなが大声で笑った。

私は不機嫌だ。
でも、リョウは私と暮らしたいって本当に思ってるって
私達のこれからの事も、結構真剣に考えてるんだって
そう思った。
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