クラッカーにはご用心
「どういうことだ、牟齧。飴魏蜜穿を聴取したそうだな。」


「サイバー犯罪の件についてだ。聴取しようが、生安課のお前に関係ないだろ。大体、飴魏蜜穿がハニービーだと言ったのはお前だろう。」



荊蜻へ蜜穿の件を食ってかかるが一蹴される。


確かに正当な捜査であるのだが、横取りされたようで納得がいかない。



「お前は隗赫鰍掩みたいな奴らを全員逮捕したいようだがな、世の中にはああゆうのも必要なんだよ。悪役が居ないと俺達善良な警察が裁けないだろ。」


「裁くのは裁判所だ。」



「だが、ヒーローは俺達なんだ。……降ってきやがったな。…なんにせよ、俺達が正義だ。」



荊蜻がいなくなった後、忌々しそうに窓の外を見る。


降る雨の如く、蝉時雨のように心の中はざわめいている。



「………チッ。」



荊蜻とは警察学校の同期だ。


東京では同じ所轄になったことはないが、合同捜査などで顔を合わせる度に言い合いになる。


基本的に性格からなにから合わないので、荊蜻が大阪へ異動になり安堵したのだが、まさか同じ所轄になるとは。



そして、ヤミ金にハッカーまで。


とんだ異動だと、殊犂はため息をついた。
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