クラッカーにはご用心
会長の朽霊煎曽(クチミ センゾウ)は、歴代の大阪府警本部長と仲が良く、朽霊会が大阪府内の治安を維持する代わりに、親友である絆栄商事の社長―――金杉獣象(カナスギ ジュウゾウ)に関することや自身の組関係に対する多少のイザコザには目をつぶってもらっている。



なにせ貸す対象が、自己破産者や生活苦、多重債務者など一般の金融会社では借りられない人なので、実際にはギブアンドテイクといったところだ。



そんな警察署の体制が気に入らない殊犂は、赴任した直後から鰍掩を逮捕することに躍起になっている。



「ことりちゃん、人生は一度きりなんやで。有意義に使わなあかん。かしゅーのことは、ことりちゃん一人がどうにか出来ることやないんや。こないな無駄なことに時間かけるんはモッタイナイやろ。もっと肩の力抜いて、気楽にいこうやないか。」


「こーぞーさん、ええこと言わはるわー。さすがや。」



楮筬の重みのある言葉に涓畤壟は感動する。



「隗赫鰍掩を逮捕出来ない人生などいらない。いくら上が決めようと今は私がいる。私が変えてやる。」


「諦めわるっ。執念深い男は嫌われんでー」


「うるさい、貴様に関係ない。」
< 7 / 122 >

この作品をシェア

pagetop