欲情プール
8月も終わり。

その日も欲情に飲まれてた私達は…
情事を終えて、専務室を後にする。



「ねぇ、もし私達が夫婦だったら…」

不倫モードを引きずったまま、ふと思い付いた事を口にすると。

その途端、目を大きくして驚く慧剛。


そんなに焦らないでよ…!
それを求めて口にした訳じゃない。


「…っ、こんなに抱き合ってばかりじゃ、すぐに飽きちゃうかもしれないね」

慌ててそう続けた私から、
不機嫌そうに顔を背ける慧剛。


夫婦だなんて…
例えでも口にされたくなかったの?

胸が切なく締め付けられると…



「もし俺達が夫婦でも…
毎日抱き合っても、どれだけ抱き合っても。

茉歩に飽きる事なんて、一生ない」

目に映る横顔は、凛とそう断言した。



私は、嬉しくて…

ありえないほど嬉し過ぎて…!


あまりの嬉しさに、クールに取り繕うどころか気持ちを隠すのも忘れて。
泣きそうになりながら、その横顔に囚われた。



当然、慧剛は…
何も返さない私の反応を、確かめるべく向き戻って。

涙ぐむ私に再び驚く。


そしてそれは慧剛を煽って…


< 162 / 289 >

この作品をシェア

pagetop