欲情プール
「茉歩っ…!

ずっと辛い思いをさせて、本当にすまなかった…


お詫びにこれからは、生涯かけて。
満たされる時間を、贈らせてもらえないかっ?」




きっと…


ー「心から愛してる女を傷付けて」ー

そんな慧剛の方が、より辛かった筈で…



しかもこの3年で、そこまで地盤を整えるのは…
たぶん、並大抵じゃないレベルを遥かに凌駕するほど険しい道で。


慧剛の事だから…

恐らく壮絶な努力と、相当な無理を重ねて来たに違いなくて。


それを、私のためにっ…



相変わらず、この人は…

「本当に、ほっとけない人ですねっ…


だからこれからは、ずっと側で…
私も慧剛に、満たされる時間を贈ります」

涙ながらに、そう微笑むと。


愛しい体温に…

強く、強く、包まれる。






醜い欲情は、涙と一緒に流れて…

きっとこれからは。



私達の心のプールに…
唇から、漸く愛が注がれ始める。

















fin
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