スノー アンド アプリコット
くっそ、痛い。
杏奈はいそいそと、あっそーだ布団布団、と部屋を出ていき、またすぐに隣から戻ってきた。
「一井、あんたにも会いたがってたわよ、さっきまで居たんだけど。」
「しかもホイホイ部屋に入れてんじゃねえ!」
「そりゃ入るわよ、これ運んできたんだから。」
杏奈が持ち込んできた布団をセットしているから、俺もため息混じりに手伝ってしまう。
「うーん、いいわね。冬はコタツよ。」
「てめえこの部屋…どーしてくれんだ…」
ベッドとコタツでスペースがほぼなくなったワンルームを眺めて、俺は嘆いた。
なんだ、これ。
そうは思っても、杏奈がまだ電気を入れていないコタツに入って満足げに笑っているので、俺はまあいいか、と思ってしまった。
いつも不遜だったり不機嫌だったりする杏奈がこんな笑顔を見せるのは珍しい。よっぽど嬉しいのだ。
「ビール!」
「お前なあ…」
冷蔵庫から缶ビールを取り出して、杏奈の隣に入ってみた。
「何よ向かいに入りなさいよ、せっかくデカいんだから有効に利用しなさいよ。」
「いいだろこれで。」
俺はちゅっと杏奈の唇にキスをした。
「サカってんじゃないわよ。」
言いながらも、俺が顔中にキスを降らせると、杏奈も俺の首に抱きついてきた。
細いくびれを引き寄せると、杏奈はキスを続けながら、あぐらをかいている俺の上に乗っかった。
あー、やばいな。俺、幸せだ。
密着感に満たされる。
夢中になってキスを深めていく俺の下唇を柔く噛んで、杏奈は笑った。
「ユキのくせに生意気なのよ。」
俺の耳に手をかけて言う。
もう杏奈を押さえつけなくていいなんて。
こうしてすんなり求め合うことができるなんて。
数ヶ月前までは、考えられなかった。