蒼の王様、紅の盗賊






団長。
再びそう呼ぼうとレイアは口を開きかけるが、独特な雰囲気に飲まれて言葉が出てこない。


さて、どうしたものか。





クロアは眠っているのか、それとも考え事をしているだけなのか。
目を開けるような気配はない。



近付いてみれば、自分の存在に気が付くだろうか。
だけれどこの空間にこれ以上踏み入れるのはどうにも気が引ける。

独りでいることを望んでいるような彼。他からの干渉を拒んでいるような彼。
今は彼が気がつくまで、そっとしておくのが良さそうだった。









「......まったく仕方がないわね」



パサッ。
そう察したレイアは、囁くような声で呟くと持っていた毛布を静かに床へと置いた。



クロアは時々こうやって他を寄せ付けないように独りで居る時がある。

そんな時、彼が何を考え何を感じているかはレイアには分からない。
ただそんな彼を陰から見つめることしか出来なくて、その度にレイアは彼はまだ自分に全てを語ってはくれないのか。信用をされきれてはいないのかと、心の内で落胆をする。








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