蒼の王様、紅の盗賊







彼は何かを抱えていた。
そしてレイアをその全てを知り、そして受け止め分かち合いたかった。


でもそれが出来なくて、レイアは彼が自分に全てを語ってくれるまで待つしかなかった。










「風邪....引かないようにね」



レイアは独り言のような小さな声で呟いた。
多分クロアには届いてはいないだろうが、レイアにはそれはどうでもよかった。






ッ。
レイアは踵を翻すと、静かに来た道を戻る。
独り想いに浸るクロアをその空間に残したまま、レイアはその場を後にする。








それから彼に背を向け離れにある自分の部屋へと戻るまでの間、レイアは一度も彼の姿を振り返りはしなかった。

部屋へ戻り扉を閉めて、そこで初めてもう姿は見えないクロアの居るはずの方を振り返る。
そして何も言わずにただ暫く憂うような哀しい視線で見つめ、それからベッドの上になだれ込むようにして、レイアは眠りについた。







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