ひとりじゃないよ

華琳


「「おはようございます。華琳お嬢様」」

「おはよう」

執事、メイド、ボディーガード…

たくさんの人がいる。
けれどそこに両親はいない。

「お嬢様、お父様から小包が届いておりますが…」
「帰ってから開けるわ」
「承知いたしました」

執事は恭しく礼をして、椅子をひいた。

「ありがとう」

そんなことくらい自分でできる。

その言葉はきっと、誰かがいる限り自分の口からは出ないだろう。
_常に猫を被っているのだから。


「ごちそうさま」

食事を終えると、すぐにメイド達が登校の準備をする。

「お嬢様、車の準備ができました」
「わかった。すぐに行くわ」

長い廊下を、華琳先頭に執事やメイドやボディーガードやらがぞろぞろ歩いていく。


運転手が車の扉を開けて待っている。


「「華琳お嬢様、行ってらっしゃいませ」」

「いってきます」

大勢の人が見送るけど、そこに家族の姿はなかった。
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