興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
「もう、シャワーも済んでるんですね。あ、…当たり前でしたね」

「フ、ああ、済ませたよ」

「全然気が付きませんでした、帰った事。私、凄い熟睡してたようで、すみません」

「いや、全然いいから。寝てくれてた方が良かったよ」

よく眠ってくれてて良かったよ。解くのには苦労したけど。
…朝は、男は何かと…大変なんだ。

「こんなに気持ち良く起きられたの久し振りなんです。
あ、どうぞ」

寝てなかった分も取り戻せたくらいよく眠れた。

「そうなのか?有難う、頂きます」

「私の方こそ、頂きます。…ん、…美味しい。美味しいです、坂本さん」

「それは良かった」

「料理、するんですね」

「するってほどじゃないな」

「…ぁ……もしかして蜂蜜ですか?これって、漬け込みの甘味は蜂蜜ですよね?」

「お、そうだよ」

「私、フレンチトーストはフランスパンで蜂蜜でっていうのが好きなんです。だから凄く嬉しくて、美味しいです」

「…そうなんだ」

へぇ、俺もフランスパンで作るのが好きなんだよな。


「片付けは私がします。お皿、直ぐ洗いますね」

「慌てなくていいよ」

「はい。でも…はい、ね?言ってる側から済みましたから。ご馳走様でした、有り難うございました」

「うん。俺もベッドまで使わせて貰って有り難う、助かったよ。色々と…有り難かった。じゃあ…、帰るよ。また、後で会社でだな」

「はい、そうですね」


フ。何だか変。隣同士…、また後で会社でなんて、もしかしたら、出る時また一緒になるかも知れない。
会社、近いから、乗り物に乗る事も無いだろうし。
私が何より嬉しい?機嫌がいい?のは、坂本さんが約束を守ってくれた事。
どんなに襲わないと言っていても、危険に近い目に遭うかも知れないと、多少覚悟はしていたのだけれど。
坂本さんは何もしなかった。男女なんだから……何が、どのタイミングで起きるか解らない。その部分は100パーセントないとは言えない。
試した訳ではないけど、一緒に寝ても何もなかった事が嬉しい。男の人として、信頼出来るんじゃないかと思った。
早過ぎ?この判断って。

でも、正気かどうか解らない時の攻めて来る感じは、やっぱり掴み切れないかな。…フフ。
フレンチトーストは、お泊りのお礼なんだろうと勝手に思った。
やっぱり基本はきちんとした人だと思う。
< 32 / 166 >

この作品をシェア

pagetop