興味があるなら恋をしよう−Ⅰ−
ピンポン。
あ、きっと坂本さんだ。

「はい」

「よっ。飯、食ったか?風呂、入ったか?歯、磨いたか?」

…。

「…お疲れ様でした、お帰りなさい」

「お、…おお。これ、やる」

お帰りなさいって、…うっかり喜んだじゃないか。

「フランスパン…」

「それはフレンチトースト用だな」

…。

「…有難うございます」

朝、作れって事なのかな?

「坂本さんご飯は食べました?」

「ん、食べたような、食べてないような」

「何です?それって」

「ん。遅くなったら、もう食べない方が体が疲れなくて済む。水分補給くらいでいいって感じ、かなって」

「じゃあ、スープとかどうです?野菜スープ。
鍋に入れて煮込んでたら、坂本さんが居る間には出来上がりますよ?」

「な〜んだ。そんなに俺に居て欲しいんだ」

そういう訳では…。

「ん〜。では、ミキサーにかけて手早く一気に作ってしまいましょう」

「いいよ?早く食べられるし」

「じゃあ、そうしましょう」

「あ、ちょっ、ちょっと待てよ。…怒ったのか?」

「いいえ、普通です」

…。

「あ。藍原」

「何ですか?」

「…フランスパンの袋の中に、更に袋が入っている」

「え?あ、…ティラミス。ティラミスがあります!」

「ん。約束だからな」

「キャー!嬉しい。忘れてなかったんですね。
坂本さん、有難うございます。凄く嬉しいです」
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