8歳上のパパ【長期更新停止中】
――とくん、とくん……。
彼が去った後の余韻に、いつもよりも数倍速いあたしの胸の音。
「……っていうか、初めてまともに会話した気がする」
声も、なかなかカッコ良かったな……。
…………って!!
違ーーうっ!!
心の中に芽生えた本音にハッとして、あたしは左右に大きく首を振った。
……あたしってば、何考えてるんだろ。
『彼は、ママの再婚相手。
そして、あたしのパパ』
深呼吸をしながら、自分に言い聞かせる。
「……よしっ!
洗濯の次は掃除っ!!」
さっきまで彼がいた場所に背を向け、あたしはリビングへと向かった。
今、一瞬だけ浮かんだ気持ちは封印しよう。
そう、心に誓って。