夢を忘れた眠り姫
「ああ。といっても、別に俺が指名された訳じゃなくて『こういう話があるんだが、興味はあるか?』っていう内容だった。相手方が自分と付き合いがあって、それなりに信頼している人物に片っ端から声をかけてるらしくて。だから立候補したとして、実際に結婚までたどり着く確率は果てしなく低いってのに、母親が勝手に先走りしてここぞとばかりに張り切っちまってるんだ」

「…えっと…。何だかずいぶんオープンな感じなんですね。『結婚したい人この指止まれ』的な」

「とりあえず間口は広くしておいて人数を集めて、その中から厳選していくつもりなんだろう」

「そのお見合いのお相手っていうのは一体誰なんでしょうか?」


私は最大級に気になる疑問をぶつけた。


これまたかなりの大物(の家族や親族)なんだろうけど、可能ならばぜひともその正体を知りたい。


「見合い相手本人のパーソナルデータはまだ把握していないんだが…。大文字清太郎って知ってるか?」

「え!?」


唐突に発せられたその人物名に、私はギョッとする。


「だ、だいもんじせいたろう!?」

「ああ」

「知ってるも何も、デビューして50数年、いくつもの作品が映像化されている、超大御所の小説家じゃないですか!」


純文学でも時代物でもホラーでも推理物でも、何でもござれの『まさに小説家になるべくしてなった』と評される天才作家。
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