夢を忘れた眠り姫
「だけど奥ゆかしくて飲み会とかは苦手でめったに参加しないし、まずはどうやって接点を作るか、様子を見てたんじゃないのかな?だけどいつの間にやらちゃっかり貴志君が手を着けていたと」

「ホント、見かけによらず早業だよね。みんな悔しがるだろうなー」


私のファンとやらは随分かくれんぼが上手なんだな…としみじみ思いながら彼女達の話に耳を傾ける。

それにしてもお二人とも、瞳が爛々と輝き、心底イキイキとしていらっしゃるわい。

思いがけない秘密を知ってしまって興奮しているというのもあるだろうけど、単純に、フリーの女子が一人片付いたという事が嬉しくてたまらないのだろう。

『王子様』を狙うライバルが一人脱落したという事だから。

わが社の販売企画課に、帰国子女で英語ペラペラで将来幹部入りを果たす事間違いなしと言われている、入社6年目の落合和哉という男性社員がいるのだけれど、独身女性は皆彼を狙っていて、私もその愉快な仲間達の一人に勝手に加えられていた。

「超有望株である上に、見かけもイケてるよね」という近藤さん達の評価に「そうですね」と社交辞令で同意してしまったのが原因だと思われる。

でも、正直、別にタイプじゃないんだよね。

もちろんビジネス的には英語を話せた方が色んな場面で有利なんだろうけど、これから一生日本から出るつもりのない私にとっては日本語しか話せない人が恋人でも何ら支障はない。
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