夢を忘れた眠り姫
お二人はそうたたみかけて来たけれど、果たしてそんな人いるのだろうか?と疑問に思う。

今まで私にそういった素振りを見せて来た人は皆無だし、そして貴志さんの方も。

先輩にお食事会などに誘われた際、断り続けてばかりでは心証が悪くなるので、仕方なく、ごくたまには参加しているのだけれど、その中の全部署合同の女子会にて
「悪いけど貴志君は恋人候補として眼中にないわ~」
「『高度成長期のサラリーマン』的な無駄に渋い哀愁が漂っててさー」
「若さのカケラも感じられないんだよね~」
などと、お二人を筆頭に皆さん言いたい放題だった。

まぁ、たまたま貴志さんに思いを寄せている人がその会には不参加だっただけかもしれないけど。

とにかく「男として蚊帳の外」扱いがハンパなかったのだ。

そういったエピソードもあって余計に、貴志さんは覇気がなく、すこぶるしょぼくれた男性だと思い込んでいたのだけれど、同居してみてそれはとんだ勘違いであるということに気付いたという訳だ。

しかしもちろん、この場でその事実を暴露するつもりはない。


「そ、そんな、私にアプローチをしてくる人なんて…」

「いやいや、永井さんて、結構隠れファンが多いんだよー」


困ったように恥ずかしそうに、可憐に儚げに俯いてみせた私に山瀬さんが興奮気味に言い募った。
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