夢を忘れた眠り姫
そんな事を考えつつ店内に入り、端の野菜コーナーから順にすべての通路を見て回った。

初めての場所なのでどこに何が置いてあるのか、そして価格はどれくらいであるのかをチェックする為だ。

全商品が安いという訳ではないけれど、日替わりの「お買い得品」を選んで買えばかなり節約できると思うし、品揃えは豊富なので今後御用達になるのは決定だ。

安堵した所で今度は通路を逆に進みながら目星をつけておいた物をどんどんカゴに投入して行く。

もちろん帰りもまた15分歩かなくてはいけないので、その事を考慮し、負担にならないくらいの量、重さに留めておいたけれど。

精算し、両手にビニール袋を下げてマンションに戻り、購入品をそれぞれの場所に納めてから今度は夕飯作りに取りかかる。

いつもはだいたいこのタイミング、つまり土曜日の夕飯を準備する際に保存用のおかずもまとめて作っていたのだけれど、さすがに今日はそこまでの気力はないので、これから食べる分だけを調理する事にした。

食材もそれほど大量に仕入れて来なかったし、それよりなにより貴志さんもこのあとキッチンを使うだろうから、長いこと一人で占領している訳にはいかない。

そこが共同生活の、いくつかある難点のうちの一つだな、と思う。

ひとまず最初のうちは食事の毎に必要な分だけこしらえるようにしておこう。
< 68 / 277 >

この作品をシェア

pagetop