夢を忘れた眠り姫
貴志さんのあの職場でのスタイルは、すこぶる気弱そうで場合によっては舐められる危険性があるし。

マイナス方向にキャラ作りをしても何にもならないと思うんだよな。

しかし、とっても歯がゆいけど、私には口を出す権利はないんだよね。

そうこうするうちに貴志さんの朝食の準備が整ったようなので、私は立ち上がりテーブルの上を片付けて彼とは入れ違いにカウンター内へと移動した。

ダイニングテーブルは二人でもゆったり使えるサイズなので、別に場所を明け渡す必要はないのだけれど、すでに食事を終えている私がそこに留まる理由もないので離席したのだ。

チラリと視界に入った貴志さんの今日の朝食は、トーストと、すでにカットされている状態で売られているのであろう野菜とハムを盛り付けたサラダ、そしてコーヒーだった。

とても手際が良かったし、作り慣れているメニューなのだと思う。

つまり彼は朝はパン派だという事だ。

そんな事を考えつつ箸とマグカップを洗い、キッチンを出て自室に向かった。

歯磨きセットを手に洗面所へと移動し、それを終えた後再び自室に戻って、お出かけの為の準備を始める。

まずは布団を畳んで部屋の隅に寄せたあと、コタツにあたりながらメイクに取りかかった。

一通り塗りたくった所で前髪に巻いていたカーラーを外し、斜めに付いている癖が持続するようにヘアスプレーをかける。
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