化学恋愛
10ℓ
アラームが鳴り目がさめると
朝9時半だった。
これは遅刻だ。
俺は玄関を出て
学校に走った。

教室に着くと松木が
いて少し笑っていた。
起こしてくれれば
いいじゃないかっ!

そんなことも今更なので
俺は適当に授業を受け
昼が来た。
いつもなら化学室で食べる。
でも今日は屋上で食べよう。
いつもいつも佐伯さんを
見ていると心臓が
おかしくなってしまいそうだ。

松木がいなかったので
俺は階段を上って
屋上に向かった。
塔屋のドアを開けた。
そこには長い黒髪の
女性がいた。
葛西先生だ。

「せ…んせい。」

俺が言うと
先生は振り向いて
片手を上げて

「お!椎名くん!久しぶり!」

笑顔でそう言った。
実際は俺は昨日、実験室で
先生を見ていたから
久しぶりではない。
俺は心臓の鼓動が
早くなるのを感じた。

俺は立ったまま
先生に見とれていた。
先生は首をかしげて

「ん?」

と言った。
あの薬さえなければ
俺は今ここで
告白していたかもしれない
と薬のせいにしたが
不覚にも俺は佐伯さんの事が
頭に残っていた。

「ご飯、食べるのだろう?
一緒に食べようじゃないか」

そう言って先生はベンチに座り
俺もその横に座った。

「どーだい?あの子とは
上手くいってるかい?」

先生が言う。
なんっでそんなこと。
俺は首を横に振った。

「先生のせいで俺、
大変ですよ。好きな人に
告白できないし。」

俺が言うと先生は
こっちを見て

「おお!椎名くん
好きな人いたんだぁ!」

と言った。ち、近い。
というかあなたですよ。
先生は驚きながら
ニヤニヤした顔をしている。
本当に天才なのかバカなのか
分からなくなってくる。
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