再現教室~死のリプレイ~
「ここまで高い位置からじゃ、街並みも随分変わってみえるはずだ。家からそんなに離れていない場所かもしれない」


「どうしてそんな事がわかるの?」


そう聞くと、続はスマホを取り出してあたしに見せて来た。


続のスマホも電波はゼロだ。


「時間を見てくれ。今夕方の6時半だ。学校が終わったのは4時過ぎ。


俺たち全員をなんらかの方法でここへ連れてきて監禁するまでの時間を考えたら、移動距離は大したことないはずなんだ」


続の言葉にあたしは目を見開いた。


「すごい……」


言われてみれば確かにそうだ。


こんな事をした犯人が複数犯だったとしても、6人全員を連れてくるには時間がかかるはずだ。


女子生徒だけならともかく、体格のいい男子生徒までいるわけだし。


そうなると、ここは県内という可能性がとても高い。


「それにこの部屋。2年A組そっくりに作られている」


「うん。起きた時は教室だと思ったよ」


「集められているのも全員が2年A組の生徒。と言う事は、犯人は2年A組を知っているヤツだ」


あたしは続の言葉に頷いた。


「その中でこんな大掛かりなものを用意できる人間なんて、限られていると思わないか?」


「そうだね。教室をまるまる1つ再現するなんて、普通じゃできない」


あたしがそう言うと、続があたしの耳に顔を近づけて来た。


「これが本物の監禁なら、俺は辰宮千鶴が怪しいと思う」
< 7 / 111 >

この作品をシェア

pagetop