ヘタレな野獣
結局、どうしたいとも答えが出ないまま一週間が過ぎてしまった。


モヤモヤと心に何かが渦巻いている。


特に避けていた訳ではないけれど、ヨレヨレ君とは仕事以外の会話をしなくなっていた。


岸田が私を気遣って、毎日メールやら電話をくれたが、正直今は暫く放っておいて欲しかった。


いつまでも、結論を先延ばしにも出来ない、そう思った矢先の事だった。


ピンポーン・・・


来客を告げるチャイムの音に、私は時計を見やった。


時刻は21時、誰?
こんな時間に・・・


インターホンを覗き込むと、そこには見慣れた顔があった。


「ヨレヨレ君?・・・」

私は受話器を上げることなく、解錠した。




「夜分に失礼します、少しお話があって来ました」

私は無言でスリッパを出し、部屋の奥へ行こうとしたけど、ヨレヨレ君はすぐに失礼するからと、部屋には上がろうとしなかった。


私も面倒くさかったから、無理に誘う事はしなかった。


「僕、色々考えたんですが・・・
やはりこのままではいけないような気がします。冬子さんも、本人の口から直接聞きたいだろうし、いつまでも捕らわれていてはダメだと思いまして・・・
明日、少しお時間を頂けますか?」

何を言ってくるのかと思ったら・・・

「・・・ねぇ雨宮君、どうして君はそこまで首を突っ込んで来る訳?
ハッキリ言って、もう関係なくない?」

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