雫に溺れて甘く香る
でも、お店は混んでるかなぁ。

カウンターに座るような人はほとんどいないけど、混んでいたらまた別のお話だよね。

混んでいたら帰ればいいか。

そう思って仕事を終わらせてからお店に向かうと、なんとにこやかな女の子に出迎えられた。

「いらっしゃいませ」

このお店に女の子がいるって事が驚き。

セミロングくらいの髪をバナナクリップでまとめて、化粧っけはないけれど、白い肌にぷくっとした唇が可愛らしい。

白いカッターシャツに、ちょっぴり事務チックなタイトスカート、その上らギャルソン風のエプロンを身に付けている。

……バイトの子を雇ったのかな?

考えつつも会釈して、空いていたカウンター席に座った。


「いらっしゃいませ」

顔も上げずに真剣にカクテルを作っている篠原さん。

「忙しそうだね~」

「お陰さまで。グループは少ないですから……良かったかな?」

「クリスマスにグループ飲みも普通じゃない?」

「うちは居酒屋ではないので。クリスマスディナーとして利用して頂けるのはありがたいです」

……さすがオーナーの一人と言うことかな?

確かに雰囲気として、大衆居酒屋というよりは大人のデートに似合いそう。

「……ここに食堂として利用する人間がいるんだけどね~」

バックを脇におきながら呟くと、篠原さんはプッと吹き出した。
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