黒猫の住処

10drop

大和は私を抱きしめたあと、あの日のように
「俺の家に来い」
と言った。

大和の家に行くと久しぶりにクロと会った。前より大きくなってたけど、ちゃんと私を覚えてるようだった。
「今日は帰らなくて良いよ」
と大和がいきなり言うから驚いた。
でも、大和と一緒にいたかったから、私は頷いた。
「でも、お母さんに電話する!」
お母さんを心配させちゃいけないから。
電話するとお母さんはすぐに出た。
「もしもし?お母さん」
『何?美亜どうしたの?』
そう言えば何て言おう…
「えっ…と、今日は友達の家に泊まるね!」
友達を強調して言ってみた。
『ふふっ。友達じゃなくて大和さんの所でしょう』
何でお母さんが大和を知ってるの!?
私、名前言わなかったよね!?
「えっ!何で知ってるの!?」
『大和さんそこにいるんでしょう?彼から聞くと良いわ。大和さんの所なら良いわよ』
そう言い残すと、お母さんは電話を切った。
私は驚いて、大和を見ると大和は頭をかいて照れながら
「娘さんを預かってたのに何も言わないのは…と思って美亜が帰った次の日に美亜の家に行ったんだよ」
どうしよう。嬉しすぎる。気持ちを抑えきれなくなって大和に抱きつく。
「大和ありがとう。大好き」
と言って。
大和は照れてたけどね。

そのあとは、私がご飯を作ると言って、大和には待っててもらった。
「大和?ご飯できた!」
「おぅ、んじゃ食べるか」
そのあと、私が片付けをしてる間に大和は先にお風呂に入って。
そんな時間がとてつもなく愛おしい。

大和の後にお風呂に入って、出て来ると大和はクロと同じ格好をして寝ていた。
可愛いなと思いながら頭をなでるとゴロゴロと鳴いたので驚いて
「えっ!?大和!?」
と大和を見ると鳴いたのはクロだった。
「何だ。クロか…」
でも、大和は大きい猫みたいだよね。
そう思ったのは私だけの秘密。
クロを挟んで大和の隣に寝る。
幸せだな。

ここは、1人と1匹の黒猫が温かく迎えてくれる猫の住み処。

〜end〜
< 12 / 12 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop