あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


春日は女子社員の一人に笑顔で声を掛けて、仕事を頼んでいる。

わざわざ、自分に好意を持っている相手を選んで、仕事をさせている当たり、自分の武器を心得ていると見た。

そんな春日は、よく綾音にも仕事の依頼をしていた。
綾音も、何だかんだ言って、春日のことを気に入ってたもんな。
真面目で可愛いって。

綾音がニコニコ顔で、春日の仕事を頼まれてたから、ちょっとヤキモチ焼いたこともあった。

キーボードに置いた左手がふと目に入る。綾音と一緒に選んだ結婚指輪がキラリと光る。

シルバーのシンプルな指輪。裏側には二人のイニシャルが刻まれている。

……綾音。まだ来ないのだろうか?
検診終わっただろうか?

気がつけば、綾音のことを考えている俺は、女子社員のことを言えないかもしれない。

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