あなたの「おやすみ」で眠りにつきたい。


「何。橋本。お前、過去にそんなヘマしたの?」

平野さんが私たちの会話に割ってくる。

「彼女の誕生日、一ヶ月遅く手帳に書いてたんです」

「駄目ねぇ。あんたは。女の子にとって、イベントって一大事だっていうのに」

それだけ口を挟むと、彼女はまた主任に話しかける。

今度は平野さんの恋愛観についてだ。
かなりプライベートな内容になっている。

私は烏龍茶を飲みながら、当時のことを愚痴ってやった。

「あのとき澪ちゃんご立腹で、大変だったんですよ。テスト前だというのに、5時間くらい電話で愚痴ってました」

「その節はご迷惑をおかけしました」

生真面目に橋本さんは頭を下げる。

「あれから、澪はどうしてますか?」

「卒業と同時に、当時付き合ってた年上の男性と結婚して、今や双子の母親です」

同じ25歳にして、彼女はもう母親だ。
現在は専業主婦。休みなんてない彼女と会う機会は中々ない。

「そっかぁ。彼女、もう結婚してるんだ。俺と同い年なのに、もう母親なんですね」

同感だ、と微笑み返しながら、私はテーブルの上の料理に口をつける。

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