恋が叶うなんて思うなよ。【中編・完結】

圭介は暫く思案した後、携帯をかけ直した。

ワンコールもならないうちに、電子音が相手に繋がったことを知らせる。


『けー兄ちゃん?』

高めのソプラノが圭介の耳元をくすぐる。
「どうしたんだ、梓」
梓は一瞬間を空け、言葉を紡ぎ出した。

「あのね、けー兄ちゃん。あたし涼太先輩にフラれちゃった」

従姉妹の台詞が、圭介の心臓の芯にぐさりと突き刺さった。
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