お告げの相手は誰ですか?



普段の右京ならもうそろそろ退社する時間だが、今日は定時まで会社にいることになっていた。
優花が放課後友達の家にそのまま遊びに行くという事で、右京が早く帰る必要がなかったからだ。

律は清花の代わりに自社のブランドの選定会議に出ている。

右京は自分で甘いコーヒーを淹れ、机の上に足を伸ばしてくつろいでいた。

すると、急に入口のドアが開いた。
あまりの驚きに右京は淹れたばかりのコーヒーをズボンにこぼしてしまった。

そこに立っていたのは、恐怖の大魔王と化した伊集院貴子だったから。


「右京、何やってるの??」


貴子の後ろから清花の声がした。


は?
なんで清花がこの貴子様と一緒にいるんだ?


右京は慌てふためきながら必死にこぼしたコーヒーを拭いていた。
すると、貴子は秘書室をキョロキョロ見回している。


「律はどこ? 律を呼んで」


貴子の低いバリトン風の声が響いた。


「右京、律さんを急いで呼んで!
それであなたも一緒に社長室へくること」


清花はそう言うと、貴子と社長室へ消えていった。


…やっぱり4時に帰っておくべきだった。
一体、今から何が始まるんだ???




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