運命の恋は健康診断から始まる
自分の部屋に入ってドキドキしてる胸を押さえる。


コートを宗一郎さんにかけていたからか、香りがかすかに移ってて着てると宗一郎さんに抱きしめられてるような感じがして落ち着かなかった。


隣に宗一郎さんがいたのにそんなこと考えるとか。なんか私、変態みたいじゃない?


コートを脱いでこれはしばらく着るのやめようと思いつつハンガーにかける。


だけど、宗一郎さんの香りが身体にもついているような気がして、一人で赤くなってしまう。


これじゃ本当に変態だと思ってお風呂の準備をするけど、もう少しこのまま宗一郎さんの香りをまとっていたい自分もいて、私は自分の身体をぎゅっと抱きしめる。


それから胸を押さえつつお母さんの遺影の前に座って手を合わせる。


お母さん、好きな人ができました。少し年上ですけど、すごく優しい人です。


どうなるか分からないけど、見守っててね。


そう報告している間にお風呂が沸いて、私は立ち上がってお風呂に向かった。


宗一郎さんの香りが消えてしまうのを、名残惜しく思いながら。


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