おにいちゃんの友達
兄も私と一緒で未来が見えないのかもしれない。

自分と親しいマサキがあれだけ明確に自分の進路を決めてるんじゃ、余計焦るよね。

私とマドカの関係と似てる。

だけど、私はまだ高一で、兄は高三。実際進路を決定しないと先に進めない状況だもん。

私よりももっと切実だわ。

「お兄ちゃんて、もう志望大学とか決まったの?」

敢えて母に聞いてみた。

「どうなのかしら。大学に行くっていうのは決めてるみたいだけど、実際どこ受けるとかは聞いてないわ。」

「ふぅん。」

「ユイカはお兄ちゃんから何か聞いてる?」

「別に。知らない。」

勉強に集中できないくらい進路に悩んでるってことは言わないでおこう。

なんてできた妹なんだろねぇ。

「それはそうと、こないだの皆で行った食事会は楽しかった?」

母はぼんやりとテレビを観ながら聞いてきた。

「うん。」

「マサキくんって本当に昔から変わらないわよね。屈託ないっていうか、いつも明るくて元気でお母さん大好きだわ。」

何も言わずにハンバーグを丁寧にお箸で切った。

「ユイカ、あなたマサキくん好きでしょ。」

ぶぶーっ!

思わず飲みかけていたお茶を吹き出した。

なっ!なんてこと言い出すのかしらうちの母親って人は!

顔が一気に熱くなる。

「ち、違うわよ。」

ティッシュで汚れたテーブルを慌てて拭いた。

「えらい動揺しちゃってるけど。」

母は愉快な顔で笑った。
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