熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~


大粒の雨がひっきりなしに屋根を叩きつける機関銃のような轟音を耳で聞きながら、目はぼんやりと、これまで彼とやりとりしたメールを見ていた。

そこには、あたしが『ケータイ小説大賞』に応募するために書いた小説の断片と、それに対する彼からのコメントが書かれてあった。

まだ書きかけで、第1話さえ完成していないけど、あれほど熱中していたケータイ小説も今は全然書く気になれない。…ってゆうか、見る気もしない。

右手のマウスを動かしてパソコンをOFFにしようとしたその瞬間、窓の外が青白く光ったかと思うと、ドドォォォォォーン!!!!とまるで爆弾でも落ちたような巨大な音がして、部屋中の電気機器が一斉にOFFになった。

どうやら家のすぐ近くに雷が落ちて停電してしまったみたい。


しばらくはまだ冷気が残っていたあたしの部屋も、停電でとまったクーラーのせいで、だんだん蒸し暑くなってきた。だけど窓を開けると雨が振り込むから開けられない。

それよりも、今の落雷の影響でパソコンのデータが全部消えてしまったんじゃないかと不安になった。

バックアップデータもとっていないし、まず第1話が完成してからサイトにUPしようと思っていたから、もしパソコンがダメになっていたら、あたしの汗と涙の結晶のケータイ小説は跡形もなかったことになってしまう。
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