熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
小5のとき友達の中で一番最初に生理になって以来、どうやらオンナとしてのスイッチが入ったみたいで、モリモリ胸が大きくなりはじめて、友達の中で一番最初にブラジャーをつけたのもあたしだった。

鏡を見ると、まるで首から下だけが誰か他のヒトのカラダとすり替えられているような違和感を感じる。カラダだけが勝手にどんどんオトナになってしまって、まだコドモのままのキモチと全然かみあっていない。


こんな悩み、ヒトに話したところで、嫌味に思われるだけで、誰にも分かってもらえないだろうけど、あたしは胸が大きすぎて本当に困っている。

道ですれ違う度に胸をじろじろ見られるのがすごくイヤで、気がつくと、いつもうつむきながら歩いている。夏のどんなに暑い日だってTシャツ一枚で外出することはなく、いつも上着を羽織ってさりげなく胸を隠すようにしていたし。

それに重たいオモリをぶら下げているみたいで肩だって凝るし、体育のときとか走ると胸が揺れて死ぬほど恥ずかしいし、それを男子がチラ見しているのが、横を向いていてもハッキリ分かる。

男子ってなんであんなにバカなんだろ? ホンっト、アタマにくる! …ってか、ときどき殺意すらいだく!!

これがプールの時間ともなれば、ハダカの上に水着1枚だけのカッコで男子の前に出ないといけない。こんなの、男子の目の保養のための格好のネタ以外のなにものでもない。

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