熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
神さま…魚住ととセンセ…どうか、あたしに勇気をください……。

あたしはバッグの上から、サイン本を忍ばせているあたりを祈りを込めて数回なでると、ゴク…とツバを飲み込んで、クッ…と海にでも飛び込むみたく息を止めて、タタタッ…とイッキに彼に駆け寄った。



今だ、言うんだ! 言え!!



「お…おはようございますっ」



やった、言えた~っ♪♪



「おはよぅ…」

…と振り向いてくれた比嘉くん。だけど、ちょっと不思議そうな顔。

「走ってきた…?」

「え…!?」

「汗かいてるし、肩で息してるし…」

「あ、あのっ…」

あたしは額の汗をハンカチでぬぐいなから、そして呼吸を整えながら、ストーカーみたく彼のことを待ち伏せしていたことがバレないようなテキトーなウソを考えた。
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