熱恋~やさしい海は熱砂の彼方~
「え~っ、でもソレは…。だって電話して相手の親とか出たらイヤじゃん」
「だから合図を決めるんだ。最初に2回ベルを鳴らして切る、その後、また2回鳴らして切る。コレが俺からの合図だから、そのときは、なぎさが電話に出ればいい」
「あっ、なんかソレいいかも♪」
2人だけに通じるヒミツの合図みたいで。
「じゃ、そーいうことでヨロシク頼むわ」
「了解っ♪♪」
あたしは喜んで彼の提案に従った。
その日以来、家の電話が鳴る度にドキドキしているあたしがいた。
ベルが1回鳴り、2回鳴り、そして3回目も鳴るかどうかが一番ドキドキする瞬間だ。
3回ベルが鳴らなければ、航平くんからの電話。3回鳴れば、他のヒトからの電話ということになるからだ。
このケータイ電話社会の真っ只中で、家の固定電話でこれだけドキドキしている人は、きっとあたしくらいしかいないと思う。
そして、ときには家の固定電話で、ときにはパソコンのメールで、彼の的確なアドバイスを受けながら、そして励ましに支えながら、ようやく第1話の冒頭のシーンのカタチがまとまってきた。