アイ・ミス・ユー


金子のことが、分かった。
彼は私と真逆なのだということが。


きっとこの人は嘘がつけなくて、とても正直な人なのだ。

素直に自分の気持ちを言える人なのだ。

その表現は言葉だったり、行動だったり、それぞれ時と場合によって違うけれど。
自分の気持ちに嘘はつけない人。


羨ましくなるほどに━━━━━。



私も少しだけ素直になれるかな。
なってもいいかな。



「婚活パーティーは、行きません。だから………………」


恥ずかしいので、彼の胸に顔を埋めたまま、消え入りそうな声で言った。


「金子くんも、合コンに行かないで……」

「大丈夫。行くわけないよ。最初から、行く気なんて無かったんだから」


こんな時なのに、彼の「大丈夫」にホッとしてしまった。


素直になれない女と、素直すぎる男?


若い頃はすんなり言えた「好き」が、なかなか言えなくて。


チャラにしたはずの、彼からのキスと私からのビンタがお互いに足を引っ張っているのは痛いくらいに感じた。


いっそのこと、あの時のことを忘れさせてほしい。
記憶から抹消できたなら良かったのに。










< 132 / 196 >

この作品をシェア

pagetop