アイ・ミス・ユー
9 アイ・ミス・ユーの向こう側


翌朝、向かい合ってテーブルに座り、朝ごはんにしてはだいぶ量が多めの食事をバクバク食べる金子を、私はガックリと肩を落としながら眺めていた。


「金子くん……本当に本当にごめんね」

「いつまで謝ってるの。なんか俺がとんでもない性欲の塊みたいじゃない」

「そ、そんなこと言ってないわよ!そっちのこともそうだけど、食事も……」


寝ぐせのついた髪の毛はそのままで、金子が大きな丼に盛られたご飯を口に頬張って笑っていた。


「いいってば。俺たち昨夜はどうかしてたんだよ」


そうだ、ある意味どうかしてた。


あんなにクタクタになるまで残業して働いて、夕飯も食べずに帰宅して。
彼なんて疲れ切った顔をしていたし、私だってお腹が空いていたのに。


2人とも、両想いになれたことでいっぱいいっぱいで、夜ご飯を食べることを忘れて寝てしまったのだ。


結果、朝の5時に空腹で起きた金子に無理やり起こされ、だいぶ早めの朝ごはんをこしらえたというわけなのだ。


冷蔵庫の残り物で、だし巻き卵に焼き魚、それからきゅうりの酢の物と常備菜としてとっておいたきんぴらごぼう。
お味噌汁はレトルトで。


よっぽどお腹を空かせていたらしく、金子はあっという間に平らげていく。
もちろん私もだいぶ空腹だったので、彼ほどのペースではないにしろ食は進んだ。


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