俺様社長と結婚なんてお断りです!~約束までの溺愛攻防戦~
「うわ〜〜 すっごい綺麗!!
これ、モチーフは葉っぱじゃなくて・・羽根?」

「正解」

羽衣子は顔の前に左手をかざして、食い入るように指輪を見つめた。

プラチナで作られたその指輪は、繊細な彫りで表現された1枚の羽根が指をぐるりと包みこむようなデザインで、シンプルなのに存在感がありとても華やかだ。

「ちょっと見せて・・・素材はプラチナよりピンクゴールドのが映えるかな?
真ん中にエタニティ風に石を入れる予定なんだけど、何がいい?」

洸は羽衣子の指へと落としていた視線をふと上げて、羽衣子の顔を正面から見つめた。

「これは誰からのオーダーなの? それを教えてもらわないとアドバイスできないよ」

お客様の年齢、肌の色、趣味・・そういった情報がないと何とも言えない。
いたって当たり前の返事を羽衣子は返した。

「誰のオーダーでもないよ。強いて言うなら、俺かな」

洸は妙に楽しげだった。

「オリジナル商品ってこと? それなら、ピンクゴールドの方が売れそうかなぁ」

オーダーに比べるとオリジナル商品は若い客層をターゲットにしている。最近の若い女の子はゴールド系を好むから・・と羽衣子は真面目に考えた。

「お前の好きな素材に、お前の好きな石でいいよ」

「どうしたの!? 洸ちゃんが私にデザイン任せるなんて・・・ いっつもセンスないって馬鹿にするくせに。
あっ。もしかして、熱でもある?」

羽衣子は洸の額に手を当てようとしたけれど、その手は洸に掴まれてしまった。

「センスはマジでないから、商品は絶対任せらんない。けど、これは羽衣子のだから好きにしろよ」

「ーーーはぁ?」

洸に振り回されるのは慣れっこの羽衣子だったけど、この時ばかりは思考がフリーズした。

私、指輪買うなんて洸ちゃんに言ったっけ?? えっ、私が忘れてるだけ??


羽衣子の頭の中は疑問符でいっぱいだ。
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