イジワル御曹司と花嫁契約
ただのワンピースにカーディガンを羽織っている私は、みすぼらしく悪い意味で目立っていた。


かといってもう乗り込んでしまったし、船は出港してしまったので早々に引き上げることもできない。


場違いなバツの悪さを抱えながら、パーティーが終わるまで耐えなければいけないのかと思うと気が重くなった。


仕方ない、たらふく食べるか!


気持ちを切り替えて、食べることだけに専念することにする。


パーティーが行われている大ホールに入ると、高級感溢れる豪華な造りに圧倒された。


天井には煌めく巨大なシャンデリア。


螺旋階段があり、二階からもホールを見下ろして楽しめる。


五百人程の乗客が大ホールに集まっているのに、密集感は全くない。


 大ホールの脇では、十人ほどの演者が生演奏をしているので、心地良い音色が響き渡っている。


 中央には大小様々なテーブルに置かれた立食形式のオードブルが置かれ、左脇にはバーカウンターがあり、そこから飲み物を提供しているようだ。


左右の脇には椅子が並べられているが、殆どの人が立ちながら談笑し、この場の雰囲気を満喫し楽しんでいる。
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