イジワル御曹司と花嫁契約
海外の高級ブランドの広告に起用されそうなほど日本人離れした整った顔立ちとスタイル。


圧倒的なオーラを放つその男に、一瞬で目を奪われた。


彼は特別な磁場を放ち、体の内側から光を照らしているように見えた。


近寄り難い雰囲気が更に彼の希少性を高めている。


人がたくさんいるはずの大ホールの中で、彼と私だけがその場にいるような錯覚になり、まるで時が止まったかのように美しすぎる男を見上げていた。


 けれど、その男性の胸元の白いシャツに、食べ物が飛んだ時についたのであろうバジルの緑の染みが目について、慌ててハンカチを取り出し立ち上がった。


「すみません!私……っ」


 汚れを拭こうと手を伸ばすと、闘牛士のように華麗に身をかわされた。


「余計なことはするな」


 彼の口から出た声色は、その場にいる全員が萎縮してしまうほど冷たい物言いだった。


 取り出したハンカチを所在なく握りしめる。


今日一番の惨めな気持ちだった。


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