イジワル御曹司と花嫁契約
涙は恐れなのか、それとも最も痛いところを口にされたからなのか。


自分でもよく分からない。


ただでさえ頭がめちゃくちゃで混乱してるのに、追い打ちをかけられて全身が震えてくる。


 彼はスッと立ち上がり二、三歩歩きながら続けた。


「恐らくお前よりも詳しく知っている。

その手術は極めて斬新で高度な術式だ。

できる病院は限られている。

というよりも、手術を行える医者がほとんどいない。

よって、手術費用も高額だ。

お前の家の財政状況も調べさせてもらったが、貯金もほとんどないようだし、とてもじゃないが払える金額じゃない」


 涙がポロポロと溢れ出てきた。


こいつが言ってることは、悔しいけど全て事実だ。


今の私にはとてもじゃないけれど、数百万なんて大金用意できない。


「……でも、手術だけが手立てじゃないって。病に効く抗がん剤が見つかるかもしれない」


 先生だって希望を持ってと言っていた。


手術しなければ助からないというわけではない。


「日に日に大きくなっているのに、そんな悠長なことを言っていられるのか?」


 睨み付けるように私の顔を見て言った彼の言葉は、ぞっとするほど冷たく確信をついていた。
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