壊れるほど抱きしめて
すると坂木くんは乱暴にキスをした。
そのまま私を床に押し倒し、キスを止めると私を見つめた。
「何で抵抗しない。どうして受け入れる!」
「わからない。でも私は、坂木くんを受け入れたいの」
「……」
「お願い、抱いて…。坂木くんの苦しみを、私にぶつけっ」
と言いかけたら、続きを言えないように唇を塞がれた。
先ほどの乱暴なキスとは違い、そのキスからは悲しみが伝わる。
きっと坂木くんの心の中に居る"かおり"さんと言う人に私を重ねているのだろう。
それでもいい。
いつか坂木くんの本心を、私に話してくれるまで、私の気持ちも言わないから。
坂木くんのキスが深くなり、"もっと欲しい"と私を欲情させる。
体が熱くなり、彼の愛撫に甘い吐息が漏れる。
好きーーー
言葉では言えない感情が溢れる。
「ああっ、坂木くん……」
私は彼の背中を抱きしめる手に力を込める。
こんなに欲情したのは彼が初めてだ。
彼の前で、私は淫らな女に変わる。
彼の唇が、体が、私の中に刻み込まれる。
愛されないとわかっていても、彼を感じる度に好きになり、彼の苦しみも、悲しみも全て私が受け止めるからーー
いつか、いつか、私の名前を呼んでくれる?
「ああっ、もう……」
「まだだっ……」
涙目になりながら彼にしがみつく。
それでも彼は私を何度も快楽へと導く。
行為が終わると、疲れ果てた私は、そのまま眠りに就いてしまった。