壊れるほど抱きしめて



暫くすると、坂木くんがお風呂から上がって部屋にやってきた。


「か、勝手にお邪魔してます」


「……別に」


そう言った坂木くんは冷蔵庫を開けて、ミネラルウォーターを取り出して飲んだ。


「あ、あのっ」


「……何」


「明日なんだけど、一緒に出掛けない?」


「……」


坂木くんは何も言わずにミネラルウォーターをまた飲みだした。


「欲しい物があるんだけど、私じゃ荷物が重すぎて運べないかもしれないから、一緒に来てくれると助かるんだけど、ダメかな?」


「……わかった」


相変わらず目すら合わせてくれなくて、返事だけをしてくれた。
でも一緒に出掛ける事は成功した。


「じゃあ、私もお風呂借りるね?」


そう言って鞄ごと浴室に持って行き、私はお風呂に入った。


一緒に居られる事は嬉しいけど、何か変な感じだ。


深入りするなって坂木くんは言ってたけど、泊まっていいって事は、私を少しだけ受け入れてくれてるのかな?
まだ心を開いてくれた訳ではないけど。


私はお風呂から上がると、着替えてドライヤーを借りた。
髪の毛を乾かし終えると、部屋に行った。


「お風呂ありがとう。ドライヤーも借りました」


「……」


私がそう言うと、無言で坂木くんは立ち上がると冷蔵庫の前に行き、中からミネラルウォーターを取り出して無言で私に渡した。


「ありがとう」


そう言ってミネラルウォーターを坂木くんから受け取ると、私はそれを飲んだ。




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