壊れるほど抱きしめて
チケットを買い、その場を離れた。
「坂木くん、これチケットとお釣り」
そう言って坂木くんにチケットとお釣りを渡した後に、鞄から財布を取り出した。
「これ、チケット代」
そう言って坂木くんにお金を渡そうとしたら、坂木くんは一人で先に歩き出した。
「坂木くん!」
「お金はいらない。早く行かないと始まるんじゃねぇの?」
そう言ってまた歩きだす。
私は坂木くんに『ありがとう』と言って後を付いて行った。
二人で椅子に座り、上映が始まった。
私は坂木くんの笑顔が見たくて、CMで流れていたコメディ映画を見る事にしたんだけど、笑ってくれるかな?
序盤から面白くて私はクスクスと笑った。
途中で気になって坂木くんをチラリと見たけど、いつもと変わらず無愛想な顔のままだ。
私は笑いすぎでお腹は痛いし、涙まで出てしまったが、映画が終わり坂木くんを見るとーー
寝ていた……。
少しでも笑顔が見たくて映画に誘ったけど、私一人だけゲラゲラと笑って、最終的には坂木くんは寝ちゃってるし、作戦は失敗に終わった。
「坂木くん、映画終わったよ」
体を軽く揺さぶってそう言うと、目を開けた。
坂木くんは伸びをすると無言で立ち上がり、歩き出したから私も後を追った。