壊れるほど抱きしめて




チケットを買い、その場を離れた。


「坂木くん、これチケットとお釣り」


そう言って坂木くんにチケットとお釣りを渡した後に、鞄から財布を取り出した。


「これ、チケット代」


そう言って坂木くんにお金を渡そうとしたら、坂木くんは一人で先に歩き出した。


「坂木くん!」


「お金はいらない。早く行かないと始まるんじゃねぇの?」


そう言ってまた歩きだす。
私は坂木くんに『ありがとう』と言って後を付いて行った。


二人で椅子に座り、上映が始まった。
私は坂木くんの笑顔が見たくて、CMで流れていたコメディ映画を見る事にしたんだけど、笑ってくれるかな?


序盤から面白くて私はクスクスと笑った。
途中で気になって坂木くんをチラリと見たけど、いつもと変わらず無愛想な顔のままだ。
私は笑いすぎでお腹は痛いし、涙まで出てしまったが、映画が終わり坂木くんを見るとーー


寝ていた……。


少しでも笑顔が見たくて映画に誘ったけど、私一人だけゲラゲラと笑って、最終的には坂木くんは寝ちゃってるし、作戦は失敗に終わった。


「坂木くん、映画終わったよ」


体を軽く揺さぶってそう言うと、目を開けた。


坂木くんは伸びをすると無言で立ち上がり、歩き出したから私も後を追った。




< 39 / 72 >

この作品をシェア

pagetop