溺愛の桜
それから待つ事ほんの数分。

キョロキョロしながら走ってくる男性が目に入った。

あたりはもうすっかり暗くなっていて、街灯だけでは顔まで確認できない。

ひとまず車から降りてみることにした。



「・・・よっ!」

「こんばんはっ。」



お互いに顔を確認すると、先に声をかけたのは優生の方だ。

実物もやはり可愛らしい。

男の子にしては背があまり高くなくて、自分以外まわりはみんな大きい人だらけの朋奈にとっては新鮮だった。

服装は暗めのジーンズにカッターシャツ、上にベストを羽織っている。

活発そうな、朋奈好みの服装だった。



「ごめんな、結構待った?」

「ううん、そんなに経ってないよ。」



年下と言えど彼は21歳。

それなりに気遣いができるようだ。

少し年下を侮っていたかもしれない。



「晩飯食った?」

「食べてないけど。」

「じゃあ飯食いに行くか!」

「うんっ!」



彼は助手席に座り、朋奈は運転席でハンドルを握って車を発進する。

走行中、ラインで散々話したはずの身の上話を繰り返し話していた。

沈黙にならないように朋奈が気を使ったからだ。



「たあくんとは同級生か何かだったの?」

「竜樹(たつき)は中学と高校が一緒。てか、あいつたあくんって呼ばれてんの?笑」

「彼女の千尋がそう呼んでるから。」

「似合わねー!笑」



よく笑う人だと思った。
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