最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
 初めて知ったその事実に、私はホゥ……と息を漏らして、その場にへたり込んでしまった。

 建国神話の派手な戦いの陰で、そんな種族も次元も超越したロマンスが花開いていたなんて夢にも思わなかった。

 自分が本当に精霊の血を引いているってことも、夢にも思っていなかったけれど。

「あ……」

 ポカッと開いた口から小さな声が漏れて、私は慌てて口元を押さえた。

 ……え? ちょ、ちょっと待って。じゃあ私って……。
 精霊の血を引いているってだけでも特殊なのに、さらに異世界の血まで混じってる……ってこと……?

 そう思った途端に、スーッと体が冷える感覚に襲われた。

 なんだか自分自身が、化け物のような存在に思える。
 この体中を流れる血が、普通の人間の血じゃないことが急に恐ろしくなった。

 公爵邸の庭を荒らした暴風を思い出し、いまさらながらゾッと寒気がする。
 私はあんな事象を起こしてしまうような不可解な生き物なんだ。私は……。

 まともな人間じゃ、ない……?

「キアラ様? お加減が悪いのですか?」

 エヴルに声をかけられて、ビクッと体が震えた。
 心配そうに話しかけてくる彼の顔を見るのが怖くて、返事ができない。

 エヴルは、私のこんな事実を知って、内心どう感じているんだろうか?
 当の本人ですら、自分自身を薄気味悪いと思っているのに……。
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