秘密 ~生徒に恋して~


確かにそういう感傷もあるには違いないが、それ以外の理由があるなんて、悠也には絶対言えない…

私は、必死に我慢しなければしゃくり上げて号泣してしまいそうで、意識して身体に力を入れた。


悠也の腰に回した私の両手は、彼の制服をギュッと掴んでしまう。

悠也は、何も言わず私の手の上にそっと手のひらを数秒間だけ重ね、指でトントンと優しく叩くと、またハンドルに戻した。



悠也の温かい背中がすぐそこにある。

「ごめん、片瀬くん…ちょっとだけ背中貸して貰っていいかな」

私は彼の返事を待たず、右側のおでこを背中につけた。


「いいよ。涙でも鼻水でも拭いてくれ」

そう言ったきり、悠也は私が泣き止むまで、黙っていてくれた。
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