乙女は白馬に乗った王子を待っている
四人は茫然とテレビの画面を見つめる。
何とも言えない余韻を残し、ドラマは終了した。
四人がそのまま押し黙っていると、製薬会社の便秘薬のコマーシャルが流れてくる。
CMに出ている女優は、画面いっぱいに元気よく飛び跳ね、これで毎朝スッキリ!なんてアナウンスが流れた。
かなりシュールな光景だ。
「……女ってこわいっすね……。」
最初に呟いたのは沈黙に耐えきれなくなった翔太だった。
「ふん、専務がチャラすぎたのよ。まさに自業自得。」
ゆり子が、アサヒスーパードライをがぼがぼと流し込みながらコメントする。
「えー……、婚約者が強引すぎたんだよ。それに、結局婚約者の子どもじゃなかったじゃん。」
どうしても、イケメン専務に弱いさやかは、婚約者を非難したいようだった。
あまりのドラマの結末に、それ以上言葉が出てこない。
高橋が、コホンと小さく咳払いをして、グラスを高く手にした。
「ま、ドラマの話だから、最終回終了、ってことで、乾杯しませんか?」
「いいっすねー。」
場の雰囲気を変えたい翔太がすかさずグラスを高く持ち上げる。
二人は互いに目配せをしている。
何か通じるモノがあるのかもしれなかった。
「かんぱーい!」
四人はそれぞれにグラスを鳴らした。
グラスのぶつかる陽気な音がする。
それはまるで、四人の未来を祝っているような音だとゆり子は思った。
ゆり子は一気にグラスを空にすると辺りを見回した。
高橋と翔太は何が可笑しいのか、スマホをいじりながら二人でにやにやしているし、
さやかは目の縁をうっすら赤くして、ゆり子たちの差し入れをおいしそうに食べている。相変わらず無邪気で鈍感な女だ。
……それでも三人とも満足したような顔をしている。
手元のアサヒスーパードライの空き缶を見ているうちに、なんだかシアワセなきもちがこみ上げて来た。
「結局さ……、現実の方がドラマよりずっと素敵だね。」
と、ゆり子はさやかに笑いかけた。
どうやらお後がよろしいようで。
(完)
